[MECM/SCCM]ピアキャッシュ機能が使えない時の傾向と対策

MCM(MECM)

SCCM (System Center Configuration Manager) が MECM (Microsoft Endpoint Configuration Manager) という名前に変わってしばらく経ちました。

でもまだ馴染めずに、お客様のところでは「SCCM」と言ってしまいます。

そんなMECMですが、今回はピアキャッシュを使用したいというお客様のもとで行った設定についてご紹介します。

ピアキャッシュとは?

最近色々なお客様から、MECMの「ピアキャッシュ」を使用したいというご要望を頂きます。

「ピアキャッシュ」は、クライアント to クライアント (P2P)の通信で完結する配信方法です。

非常に便利な機能ですが、いまいちピンとこない方はこの記事を参考にしてください。

設定編

ピアキャッシュを利用するために、以下の3点の設定を行います。

1. MECMサーバー側の設定

▼[サイトの構成] > [サイト] > [階層設定]
MECM画面1

▼[全般]タブ
全般画面

クライアントピアキャッシュのソースを構成して、コンテンツをパーツに分割します。
これらのパーツを使用することでネットワーク転送が最小化され、WANの使用率を下げることができます。

ここにチェックを入れることでサーバー側の設定が完了します。

項目が無い!

ところが、サーバーの設定を確認するとチェックする項目が無かったのです。え?どういうこと?

調べたところ、どうやらMECMサーバーをインストールする際にピアキャッシュを使用するための設定がされていなかったようです。

「ピアキャッシュ」機能を追加!

というわけで、MECMサーバーのバージョンアップを行うタイミングで機能を追加することにしました。

MECMサーバーのバージョンアップはいつも通り

  • 1. 旧ADKのアンインストール
  • 2. 新ADKのインストール
  • 3. MECMのバージョンアップ

で完了です。

再起動後にピアキャッシュ機能をインストールし、無事「ピアキャッシュ」を有効にできました。

2.境界グループ設定

境界グループに対してピアキャッシュの使用を許可します。

▼[階層の構成] > [境界グループ] > ピアキャッシュを許可したい境界グループを選択 > 右クリックして[プロパティ]
境界グループ

▼[オプション]タブ > [この境界グループのピアのダウンロードを許可する]をチェック
境界グループのプロパティ

これで境界グループの設定は完了です。

3.カスタムクライアントデバイス設定

最後に、カスタムクライアントデバイス設定を変更します。

▼[サイトの構成] > [クライアント設定] > 使用するカスタムクライアント設定を選択 > 右クリックして[プロパティ]
クライアント設定

[カスタムクライアントデバイス設定の作成]で新たに作成しても構いません。

▼[全般] > [クライアントキャッシュの設定]をチェック
クライアントキャッシュの設定

すると「クライアントキャッシュの設定」ができるようになります。

▼[クライアントキャッシュの設定] > [完全なOS上のConfiguration Managerクライアントでコンテンツを共有できるようにする]を「はい」に設定
クライアントキャッシュの設定

カスタムクライアントデバイス設定が終わったら、配信対象のデバイスコレクションに関連付けます。

これで設定は完了です。

確認編

配信の確認方法はいくつかありますが、今回はクライアントの以下のログを確認します。

C:\Windows\CCM\Logs\DataTransferService.log

ログファイルのパス

▼ログファイルの中身
ログファイルの中身

確認すると、ちゃんと他のデスクトップPCからダウンロードが実施されていますね。

ただ「SCCM_BranchCache」って書いてあるけど大丈夫なのかしら・・・。

トラフィックはクライアント to クライアントになっていますし、そもそもBranchCacheを有効にしていないので、ピアキャッシュとして機能していると思います。

【予告】BIOSのせいでタスクシーケンスが動かない問題

同じお客様で、MECMサーバーをアップデートした後タスクシーケンスが使えないという問題が発生しました。

タスクシーケンスを実際に流してみたところ、特定の機種で再起動がうまく動かないようです。MECMのタスクシーケンスで使用するBootメディアもうまく動作せず、バッテリーを抜いて完全シャットダウンしなければなりませんでした。

色々と試行錯誤した結果、BIOSのアップデートで改善しました。これはPCの不具合ですね。MECMの落とし穴は深すぎます。

詳しい話は、別の記事でご紹介しようと思います。

最後に

MECMに名前が変わっても一筋縄ではいかないのは相変わらずですが、企業のPCの運用にますます欠かせないツールになっていくと思います。

MECMならアーザスに聞け!と言っていただけるように日々精進しております。是非お問い合わせください。