MCM(MECM)の境界と配布ポイントの活用ガイド|構成例と特徴を解説

MCM(MECM)
MCM(MECM)の境界と配布ポイントの活用ガイド|構成例と特徴を解説

MCM(MECM)を活用する際、境界グループや配布ポイントの適切な設定は、クライアントの管理やアプリケーション配信の効率化に欠かせません。特に、企業のネットワーク環境や運用方針に合わせた最適な構成を選択することが、パフォーマンスや可用性の向上につながります。

本記事では、MECMの境界グループの構成例と、それぞれの特徴について詳しく解説するとともに、配布ポイントの活用方法についてもご紹介します。

MCMの導入・運用に役立つ情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてください!

はじめに

この記事は弊社のインターンカリキュラムの一貫で作成したものです。

境界の構成例と特徴

境界の構成例と特徴

MCMの環境を構築する際、境界の設計は重要なポイントのひとつです。境界の構成によって、クライアントの管理方法や配布ポイントの利用効率が大きく変わります。

ここでは3つの境界構成の例を挙げ、それぞれの特徴や利点・課題について説明します。

境界1

1つのプライマリサイトサーバーでクライアントを管理する非常にシンプルな構成です。

システムの中核となるプライマリサイトサーバーが1つしかないため、障害発生時にサービス全体が停止するリスクを抱えています。

境界2

1つのプライマリサイトサーバー、2つの管理・配布ポイントで構成されています。

境界1に存在しなかった「管理・配布ポイント」が2台追加されています。これによりクライアントへの配信や設定管理などの負荷を分散させることが可能になり、パフォーマンスと安定性が向上します。

境界3

境界3では1つのプライマリサイトサーバー、1つのセカンダリサイトサーバーで構成しています。

境界1および境界2には存在しなかった「セカンダリサイトサーバー」が追加されています。セカンダリサイトサーバーは、プライマリサイトサーバーに障害が発生した場合に備えデータやサービスをバックアップし迅速な復旧を可能にします。

配布ポイントの構成例と特徴

配布ポイントの構成例と特徴

配布ポイントは、クライアントへのアプリケーションや更新プログラムの配信を最適化するために重要な役割を果たします。適切に設計・配置することで、ネットワーク負荷の軽減や配信の安定化を実現できます。

ここでは5つの配布ポイント構成例を紹介し、それぞれのメリット・デメリットについて説明します。

配布ポイント1

オンラインで配布ポイントにファイルを配布し、それぞれのクライアントが配布ポイントにアクセスします。最も一般的な方法です。

配布ポイント2

メディアを通して配布ポイントにファイルを配布し、それぞれのクライアントが配布ポイントにアクセスします。
プライマリサイトサーバーと配布ポイント間の通信が発生しませんので、回線が細い等の問題を回避できます。

配布ポイント3

ピアキャッシュと呼ばれるMCMの機能を使用し、特定のクライアントを配布ポイントとして設定します。
配布ポイントサーバーが無い環境でも個々のクライアントがプライマリサイトサーバーにアクセスしませんので、プライマリサイトサーバーへのアクセス数を減らすことができます。

配布ポイント4

DMZに配布ポイントを配置し、各クライアント同士がWindows OSの機能であるブランチキャッシュでファイルを共有します。
社内ネットワークの他のクライアントからP2Pでキャッシュされたファイルを取得できますので、配布ポイントへのアクセス数を減らすことができます。

ピアキャッシュとブランチキャッシュにはそれぞれ特徴がありますので、環境に合わせて使い分けましょう。

配布ポイント5

Azureなどのクラウドに配布ポイントを設置し、そこから社外にあるクライアントに配信します。テレワーク環境への対応も可能です。
Azureのクラウドインフラストラクチャを利用するため、オンプレミス環境と比べて柔軟かつ迅速に配布ポイントを構築・拡張が可能です。

ただ、オンプレミス環境の管理コストの削減を目的として採用することはあまりおすすめできません。オンプレミス環境とクラウド環境は費用形態が全く異なりますので、かえって高くつく可能性もあります。またインターネット回線に依存しますので、速度低下や障害によりコンテンツ配信に影響が出る可能性があります。

あくまで社外のクライアントを管理下に置きたいか否かで判断した方が良いでしょう。

最後に

MCM(MECM)の境界グループや配布ポイントの構成は、クライアント管理やアプリケーション配信の効率に大きく影響します。本記事では、それぞれの構成例と特徴を紹介しましたが、実際の運用では組織のネットワーク環境や要件に応じた最適な設計が求められます。

境界グループの適切な設計によって管理負荷を軽減し、配布ポイントを最適に活用することで、安定したシステム運用を実現できます。MCMの導入・運用を検討している方は、ぜひ本記事を参考に、自社の環境に合った構成を考えてみてください。

今後もMCMの活用方法や運用のコツについて発信していきますので、ぜひチェックしてください!MCMに関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。