電子マネーの決済システムを開発するプロセス(1/3)
電子マネーは決済システムと連動して初めて成り立ちます。ではその決済システムはどのように開発するのでしょうか?
クライアントから現在の移動販売(ケータリング)にキャッシュレスサービスを導入したいと依頼があったと仮定し、要件定義から実際の開発の流れを全3回に渡って紹介します。
要件定義
どのようなキャシュレスサービスを使用したいのかヒアリングを行います。
決済手段
主なキャッシュレス決済は以下の通りです。
- クレジットカード
- Felica(Suica、iDなど)
- NFC Pay(Visaのタッチ決済など)
- QRコード決済(楽天ペイ、PayPayなど)
決済端末
読み取り方式により、決済端末は異なります。
最近は複数の読み取り方式に対応した「マルチ決済端末」が登場しており、複数の決済端末を用意する必要は無くなってきています。
クレジットカード
磁気ストライプの読み取りに対応した端末が必要です。セキュリティを考慮するとICチップも読み取れる端末が望ましいです。
磁気ストライプの場合、基本的にサインが必要です。紙にサインする場合はプリンタが必要です。デジタルでサインする場合は液晶サインタブレットが必要です。
Felica
Felicaを読み取る端末が必要です。
NFC Pay
NFC Payを読み取る端末が必要です。
QRコード決済
MPM(店舗スキャン方式)の場合、ユーザーが提示したQRコードを読み取る端末が必要です。バーコードリーダーや、スマートフォン・タブレットのカメラが挙げられます。
CPM(ユーザースキャン)の場合、ユーザーに読み取ってもらうQRコードを提示する必要があります。スマートフォンやタブレットに表示させる方法もありますが、大抵はQRコードを印刷した紙を提示します。もちろん紙の場合は端末は不要です。
他に考慮すべきこと
決済端末の用意以外にも、以下のような考慮すべき点があります。
- 決済端末の置き場所
- 電源
- ネットワーク
オプション:売上集計や帳票出力、領収書発行
開発費用が増えます。
帳票出力や領収書発行については、別途プリンターの導入費用が必要です。
オプション:事前予約
事前予約することで、決済済みの商品をスムーズに届けることができます。
事前予約を行うサイトを用意する必要があるため、システム開発費が増えます。
オプション:クーポン発行
クーポン発行することで、新規ユーザー獲得やリピーター化が期待できます。
クーポンはサイトに表示されているコードを入力して適用します。
クーポンを発行するサイトを用意する必要があります。
要件定義の確定
決済手段
交通系電子マネー(Suica・Pasmo)のみを選択。
決済端末
Felicaの読み取り専用端末を選択。
売上集計や帳票出力、領収書発行
全て必要。
事前予約
不要。
クーポン発行
必要。
基本設計
ユーザーとシステムの関連図や役割を確定させます。
インフラを含めたシステム全体の構成を決める
▼イメージ図
①ユーザが読み取り端末にSuicaをタッチする
インフラ:Suica読み取り端末
②サーバがSuicaのデータを読み取り、Suica決済システムに決済リクエストする
インフラ:サーバ、インターネット回線
ソフトウェア:CentOS、Java、Tomcat、Apache、PostgreSQL
Suica決済システムが決済し、サーバにレスポンスする
インフラ:クラウドシステム
他に決めること
- 必要な機材や開発に必要な物資を調達する予算を試算する。
- システム開発で必要な機能のフローチャートを作成し、処理の流れを決める。
- 他システムとの連携の有無を調査する。
- データ保存がある場合、データベースを選定する。
- システム開発に必要な言語、フレームワーク、使用ツールを選定する。
最後に
今回はシステム開発するために必要な情報を洗い出しました。
次回は、システム開発を行う上でのスケジュールを決めようと思います。