キャッシュレス決済の本命QRコード決済が普及するのはまだ先だと思う
去年から急激に増えた○○ペイ。
これらペイのほとんどがQRコード決済です。FeliCaではなくなぜQRコード決済なのでしょうか?
果たして日本でQRコード決済は普及するのでしょうか。
そもそもどうしてQRコード決済なの?
QRコード決済が選ばれたのにはそれなりの理由があります。
「QRコード決済」は長いので、以降「ペイ」とします。
店舗が導入しやすいから
使える店舗があってこそです。
初期コストが安い
クレジットカードにしろFeliCaにしろ、店舗には対応した決済端末が必要です。挿したりタッチする機械のことです。
特にFeliCaは色々なしがらみで決済端末が高額です。
ペイは、店頭にQRコードを印刷した紙さえあればOKです。
決済手数料が安い
決済手数料とは、売上金額に応じて店舗側が払う手数料のことです。
ペイはだいたい3.25%前後です。
クレジットカード決済は4〜7%です。(小規模な店舗の場合。)
高いですね、クレカ。
PayPayはユーザースキャンに限り期間限定で無料です。
入金が早いものがある
クレジットカード決済は、締日は月1回で、だいたいその1ヶ月後に支払いです。
ペイの中には、毎日締めて翌日振込のものがあります。PayPayや楽天ペイがそうです。
すぐに入金されるのは店舗にとって心強いです。
来客を促せる
ユーザーはスマートフォンのアプリを使ってペイします。
そのアプリには近くにある店舗を教えてくれる機能があったり、割引クーポンを受け取ったりできます。
ユーザーが導入しやすいから
いくら使える店舗があっても、ユーザーが使えないと始まりません。
スマートフォンの機種に依存しない
FeliCaはおサイフケータイでしか使えません。iPhoneはApple Payに対応してもらえるかに依存するので(ハードル高し)、使えないと思ってよいでしょう。楽天Edyでさえ未対応です。
ペイはカメラさえあればよいので、海外のSIMフリースマホでもiPhoneでも問題ありません。
使い勝手はFeliCaより劣るけど許容範囲(一部を除く)
店舗にとってもユーザーにとっても導入しやすいことは分かりました。
では使い勝手はどうでしょう?いくら使い始めのハードルが低くても、使いづらかったら使わなくなります。
結論から言うと、FeliCaよりペイの方が面倒です。FaliCaは決済端末に近づけるだけ。とても簡単です。
ペイは大きく「ストアスキャン」と「ユーザースキャン」に分けられます。PayPayの「ユーザースキャン」以外は比較的楽に使えます。少なくとも現金よりはいいです。
ユーザースキャン
ユーザーがスマートフォンで店舗のQRコードを読み取る方式です。
MPM (Merchant Presented Mode) とも呼びます。店舗がQRコードを提示する、という意味です。
個人的に一番目にするのは家電量販店のビックカメラです。PayPay祭りの主戦場でした。
ビックカメラ + PayPayのケース
- PayPayアプリを起動する。
- 「スキャン支払い」 を選択する。
- 店頭の印刷されたQRコードをカメラでスキャンする。
- 決済金額を”自分で”入力し、一旦店員に見せる。
- 決済する。
- 支払履歴を表示させ、店員に決済番号を見せる。
- 店員が決済番号をPOSに入力する。
・・・長蛇になるわけです。
ユーザースキャンには3種類ありますが、ビックカメラは一番面倒なタイプなので、非常に煩雑です。
1. 静的なQRコード(ユーザーが金額を入力するタイプ)はミスに注意
ユーザースキャンの1つ目が、先にご紹介したビックカメラで採用されているものです。
店舗が提示するQRコードが変わらないタイプです。印刷されたQRコード(ステッカーと呼ばれます)が店頭に掲示されていて、ユーザーはそれをスキャンします。店舗側は印刷したQRコードを掲示すればよいだけですので、最も導入が簡単です。
ここまでは静的なQRコード共通なのですが、PayPayの場合は金額を”自分で”入力する必要があります。
この金額入力が曲者で、間違えるとかなり痛い目を見ます。取り消し手続きが結構な手間で、店員と後ろの人の目線が痛いです。私も一度やらかしました。それもPayPay祭りで大混雑している時に。
金額を入力した後、必ず店員に確認してから決済ボタンを押しましょう
期間限定とはいえ手数料を無料にするためにPayPayはできるだけシンプルにしたかったのかもしれませんが、自分で金額を入力するタイプは違和感がありすぎて嫌ですね。何度やっても慣れません。
2. 静的なQRコード(店舗が金額を入力するタイプ)は楽
ユーザーが印刷されたQRコードをスキャンすることは上記と変わりません。
異なるのはQRコードをスキャンする前です。店舗側が店のスマートフォンやタブレットに金額を入力し、QRコードを有効化してから、ユーザーはQRコードをスキャンします。ユーザーは金額を入力する必要が無いのでとても楽です。
導入コストが安いですし、ユーザー側も楽です。比較的小規模な店舗ではこの方法が合っていると思います。
3. 動的なQRコードも楽
3つ目が、店舗が提示するQRコードが決済ごとに変わるタイプです。
店舗側はQRコードを表示する手段(タブレットなど)が必要です。
ユーザーはQRコードをスキャンするだけで決済終了です。金額入力は不要です。
ストアスキャン
店舗側がユーザーのスマートフォンのQRコードを読み取る方式です。
CPM (Consumer Presented Mode) とも呼びます。ユーザーがQRコードを提示する、という意味です。
ユーザーにとって一番楽です。
ストアスキャンを最も目にするのはコンビニです。
LAWSON + 楽天ペイのケース
- 楽天ペイアプリを起動する。
- 「コード・QR支払い」 を選択しQRコードを表示する。
- 店員がPOSにつながっているバーコードリーダーでスキャンする。
FeliCa並に楽です。
ストアスキャンですが、2種類のスキャン方法があります。コンビニは簡単な方法を採用しています。
タブレットでのスキャンは店舗側が面倒
店舗側のタブレットのカメラで、ユーザーのスマートフォンのQRコードをスキャンします。
「ライトオン + PayPay」がそうだったのですが、かなり面倒そうでした。
奥からiPadを持ってきて、(どうやってやるんだっけ?と店員間でのやり取りがあり)、決済情報を手入力して、ピントが合うように大きいiPadを動かしてスキャンして・・・、というように店舗側のオペレーションが煩雑すぎます。
どうせPOSと連携していないなら、ユーザースキャンの方がまだ良かったのでは?と思ってしまいました。ユーザーに金額を入力させたくなかったのかな?
POSのバーコードリーダーでのスキャンは店舗もユーザーも楽
コンビニなどチェーン店で導入されている場合は、だいたいこれです。
POSと連携しているので店員のオペレーションはスキャンだけ。ユーザーにとっても、ポイントカードではメジャーな方式ですので慣れていますし、決済にかかる時間が短いので助かります。
導入コストが高いのが欠点です。
ストアスキャン(POS)と、ユーザースキャン(静的QRコード+店舗が金額入力)が残りそう
長々と書きましたが、導入しやすさ(コスト)、オペレーション(楽か)に順位をつけるとこんな感じになると思います。
導入しやすさ
- 1. ユーザースキャン(静的QRコード+ユーザーが金額入力)
- 2. ユーザースキャン(静的QRコード+店舗が金額入力)
- 3. ユーザースキャン(動的QRコード)
- 4. ストアスキャン(タブレット・スマートフォンスキャン)
- 5. ストアスキャン(POS)
オペレーション
- 1. ストアスキャン(POS)
- 2. ユーザースキャン(静的QRコード+店舗が金額入力)
- 3. ユーザースキャン(動的QRコード)
- 4. ストアスキャン(タブレット・スマートフォンスキャン)
- 5. ユーザースキャン(静的QRコード+ユーザーが金額入力)
コンビニのように客数が多い効率重視の店舗はストアスキャン(POS)です。
小規模でそこまで客数が多くない店舗は、バランスがとれているユーザースキャン(静的QRコード+店舗が金額入力)です。
他は減っていくかもしれませんね。
PayPayはユーザースキャンが「静的QRコード+ユーザーが金額入力」しか無いので別です。
ペイが普及しない理由
PayPay祭りによってペイが認知され、利用者も増えたと思います。楽天ペイ、LINE Payはキャンペーンでペイの市場を大きくしようとしています。Origami Payは2%バックとクーポンで、メルペイはメルカリ連携でニッチ層を狙っています。
ただ、まだアーリーアダプター止まりだと思います。アーリーマジョリティには程遠いです。
詳しい人が、複数のサービスを組み合わせてポイントの複数取りをしたり、キャンペーン期間に大物買いをしたり、キャッシュバックの上限を超えないように分割決済したり、半額クーポンで得したり。要は少数の知っている人だけが得をしている状態です。
どうしてみんな使わないのでしょう?
乱立しすぎてどれを使えばいいのか分からず結局使わない
色々理由は考えられますが、まずはこれでしょう。
クレジットカードならまずどこでも使えます。SuicaやPasmoも同様です。QUICPayやiDはそこそこでしょうか。
ペイは種類も多いし使える店舗もバラバラです。深く考えずに使える店舗はかろうじてLAWSONぐらいでしょう。
サービスと使える店舗を組み合わせて覚えて、適宜使い分けるなんて面倒すぎです。
じゃあ現金で、ってなりますよね。
まずは淘汰待ち
まずは2つ3つぐらいに集約されてからだと思います。
とりあえず○○があればなんとか生活できる、という状態になるのが理想です。
日本ではリープフロッグ現象が起こらない
ペイは破壊的イノベーションです。FeliCaに比べて技術的に簡単かもしれませんがシンプルで導入しやすいです。FeliCaじゃないと成り立たないのは日本の改札ぐらいでしょう。
中国は、他国で普及していた決済方法を飛ばして一気にペイに到達しました。
日本はFeliCaがあります。既に導入している店舗なら”今は”困ってないから導入しなくていいと思うでしょう。
FeliCaは交通系だけでいい
FeliCaがあったから、海外で普及しているNFC Type-A/Bは普及しませんでした。ペイに対しても少なからずジャマになっています。
FeliCaはチップと受信機間の通信がとても速いです。改札の流れを阻害しないためです。技術力でいったらNo.1でしょう。
でも改札以外の用途ではオーバースペックです。店頭で決済に3秒かかっても問題無いですよね。
FeliCaやペイは現金決済をやめさせる程のモチベーションになっていない
キャッシュレス決済に慣れてしまうと、現金払いがとても面倒でストレスフルに感じます。サイフを取り出して、小銭を漁って、渡して、数えて、レジに入金して、お釣りをもらって、サイフに入れて・・・煩わしい!
ただ、Suicaやおサイフケータイが登場する前は現金払いだったわけで、別に不便は感じていませんでした。
キャッシュレス決済を利用するにはそれなりの労力が必要で、更に得をするには知識が必要です。そっちの方が面倒だと思う気持ちも分かります。
なにより現金が使えない店舗はありませんからね。
ごく一部を除く
政府のポイント還元策で現金払いに猛烈に損をさせるしかないが、期待薄
PayPayやLINE Payは20%還元キャンペーン中ですが、PayPay祭りの時ほど使っているシーンを見かけません。
20%ですよ!?普通使うでしょ?20%ぐらい気にしない恵まれた人が多いのか、私がみみっちいだけなのか分かりませんが。
期待していた政府のポイント還元策ですが、最大5%なんです・・・。クレジットカードに流れるぐらいが関の山かもしれませんね。
今はどのペイを使うべき?
まだ普及途上とはいえ、ペイを使い始めて損をすることはありません。
メジャーな4つのペイを抑えておけばOKです。該当しているペイがあったら試しに使ってみてはいかがでしょう。
楽天ペイ
- 楽天カードを持っている人。
- 楽天のサービスを使う人。
PayPay
- ソフトバンクユーザー。
- Yahoo!カードを持っている人。
- Yahoo!のサービスを使う人。
Line Pay
- リアルカード(国際ブランドプリペイド)も使いたい人。
Origami Pay
Origami Payはサービス終了しています。
- よく利用する店舗が割引対象になっている人。
- よく利用する店舗がクーポンを発行している人。
最後に
QRコード決済が日本で普及するには、色々なハードルをクリアする必要がありそうです。
ただはっきり言えるのは、今一番ホットで一番得をする決済方法だということです。
試しに使ってみませんか?コンビニで使うだけでも十分メリットは感じられると思いますよ。