MECM/SCCM導入事例~キッセイコムテック株式会社様~その4
前回は、厳しい納期に対応するためにシステム障害で業務を止めない対策をご紹介しました。
キッセイコムテック様が抱える非常に悩ましい課題を、SCCM で解決するためには様々な対策が必要でした。
今回採り上げる課題は、SCCM で避けては通れないストレージ不足問題です。
クリアすべき課題
レンタルPCのバリエーションごとにイメージファイルを作らないようにしたことで、大量のOSイメージが発生することは防げました。
ただ、巨大なOSイメージを無くすことはできませんし、各種ドライバやアプリケーションなども多数あります。運用が進むとそれらのファイルは当然ながら増えていきますので、じきにストレージを圧迫し始めるでしょう。
具体的にいうと、各種ファイルが置かれるプライマリサイトサーバや配布ポイントサーバのストレージの容量不足が発生します。
一体どうすればよいのでしょう?
NASを使って解決
幸いにもキッセイコムテック様は Symantec Ghost のイメージの格納先に大容量のNASを使用されていました。
この大容量のNASにファイルを置くことができれば、ストレージ不足問題は解決します。
パッケージソースをNASに置く
パッケージソースとは、パッケージに含めるファイル群で、フォルダで指定します。パッケージ作成時に任意のフォルダを指定することで、中身のファイルが全てパッケージソースとなります。
例えば、アプリケーションのインストーラパッケージを作成する場合、パッケージソースにはインストールに必要なファイルを全て入れておきます。インストーラや各種設定ファイルでしょうね。
パッケージソースの指定は、ネットワークフォルダでも大丈夫です。単純にNASにパッケージソースを置けばよいので楽ですね。
もう一方のプライマリサイトからパッケージはどう見えるのか
2つのプライマリサイトは、中央管理サイトによって同期しています。
片方のプライマリサイトでパッケージを作成すると、もう一方のプライマリサイトにも同じパッケージが現れます。
パッケージソースはNASにありますので、どちらのプライマリサイトからもアクセスできます。
よってNASでパッケージソースを一元化しても、何ら問題はありません。
配布ポイントのドライブとして認識されない
ただ、配布ポイントサーバでは1つ大きな問題がありました。
配布ポイントサーバのドライブは、ローカルドライブである必要があるのです。
NASのフォルダをネットワークドライブとして割り当てても、配布ポイントのドライブとしては認識されません。
配布ポイントのドライブの使われ方には以下のような特徴があります。
- ドライブの最大の格納サイズを設定する必要がある。(ドライブ全体が自動で丸々使われるわけではない)
- ドライブの最大の格納サイズに超えてしまう場合、次により容量が余っているドライブにファイルが格納される。これは格納先のドライブが無くなるまで繰り返される。(自動設定の場合)
- ドライブの最大の格納サイズに超えてしまう場合、あらかじめ設定したドライブにファイルが格納される。(固定設定の場合)
- 任意のドライブを格納対象外にすることができる。 (Cドライブのようなシステムドライブ)
このような特徴から、ネットワークドライブでは残容量が把握できないのではないかと思いましたが、そうでもないんですよね。
どうして認識されないのか理由は分かりませんが、SCCM はそのような仕様だと割り切るしかありません。
仮想ドライブを使う
結論から言うと、Windows の仮想ドライブを使うことで解決しました。
NASに Windows の仮想ドライブ(VHDX)を作成し、配布ポイントサーバからマウントしました。
これでローカルドライブとして認識され、配布ポイントのドライブとして認識されるようになりました。
キッセイコムテック様のネットワーク環境は、Symantec Ghost での配信によるキッティングを行われていたこともあり、 非常に充実していました (太くて安定している) 。恵まれた環境だったからこそ使える手法だと思います。
もしNASが使えないような環境なら、USB接続の外付けディスクに仮想ドライブを作成すると楽にストレージを増やせると思います。
NASに障害が発生したら
NASはもちろんRAID構成ですし、冗長化もされていますので、問題なしです。
最後に
今回は少々強引ではありましたが、各種ファイルの格納先をNASに一本化することで、ストレージ不足の対策としました。
ストレージ不足問題は SCCM に絶えずついて回ります。たとえ大容量のストレージが確保できたとしても放置せず、定期的に不要なパッケージを削除するなどメンテナンスを忘れてはいけません。
次回は、キッティングそのものの速度を上げるための対策をご紹介します。