MECM/SCCMでWindows10をOS展開!
今までご紹介した連載記事では、基本的に Microsoft から提供されている無償ツールを使い、Windows10 のキッティングを行いました。
Microsoftには MECM(Microsoft Endpoint Configuration Manager)という、PCなどのITリソースを統合管理する製品があります。昔はSCCM(System Center Configuration Manager)と呼ばれていました。
MECM/SCCMには実に様々な機能があるのですが、その中の「OS展開」という機能を使うと、かなり楽にキッティングを行うことができます。
今までご紹介した連載記事のやり方で困ること
一言で言うと効率が悪いです。
仕組みを知るために一度やるべきではあります。
1台1台手作業で行うので手間がかかる
数台であれば構わないのですが、全社のPCを Windows10 のPCに入れ替えるという話はザラにあります。
人海戦術で行う場合、クローンPC用イメージの置き場所を考える必要があります。
外付HDDの場合は、人数分HDDを用意する必要があります。
ネットワークドライブに置く場合、同時にアクセスされるためうまく動作するか疑問が残ります。それに巨大なイメージですのでネットワークの帯域が圧迫され、通常業務に影響が出る可能性も否定できません。
操作が簡単ではない
コマンドプロンプトで操作することが多いため、誰でもミスなく簡単にできるとは言いがたいです。
たくさんのイメージファイルを管理する必要がある
機種ごとにマスターPCのバックアップイメージファイルと、クローンPC用のイメージファイルを保存しておく必要があります。機種がある程度統一されている場合はまだよいのですが、バラバラの場合はその種類分だけ管理するイメージファイルが増えることになります。
イメージの内容を変えるには一連の作業をやり直す必要がある
機種のドライバやアプリケーションを追加・更新したい場合、バックアップからマスターPCを戻し、マスターPCに対し追加・更新し、クローンPC用のイメージファイル作成を行う必要があります。
MECM/SCCM を使用すると、かなりの部分が解消されます。
これらの問題は Symantec Ghost Solution Suite のような有償ツールを使用しても同じです。
MECM/SCCMって何?
そもそも MECM/SCCM とは何でしょう? PCなどのITリソースを統合管理するツールと言われてもイメージが沸かないと思います。
できることを大まかにリストアップしてみます。
- 各デバイスの構成情報やソフトウェア利用状況の収集
- アプリケーションやセキュリティ更新プログラムの効率的な配布
- 最適化されたオペレーティングシステムの展開やアップグレード
- SQL Server Reporting Service による高度なレポート作成・編集機能
- コンプライアンスによるクライアントコンピューターの遠隔管理
- インターネット環境(HTTPSベース)のクライアント管理
- System Center Endpoint Protection との連携によるマルウェア対策
- Exchange ActiveSync や、Microsoft Intune と連携したモバイルデバイス管理(Windows 10、Windows 10 Mobile、Windows Phone 8、iOS、Android 等に対応)
- 電源構成管理(省エネ対策等)
- 最大40万クライアントまで対応できる高いスケーラビリティ
一言で表すなら、IT管理者が社内のPCを監視・コントロールするためのツールです。
参考ドキュメント
キッティングはどの機能を使う?
「最適化されたオペレーティングシステムの展開やアップグレード」がキッティングに当たります。
MECM/SCCM では「OS展開」と呼びます。
それ以外の機能について
MECM/SCCM には「OS展開」以外にも有用な機能がたくさんあります。
特に
- 各デバイスの構成情報やソフトウェア利用状況の収集
- アプリケーションやセキュリティ更新プログラムの効率的な配布
- System Center Endpoint Protection との連携によるマルウェア対策
は是非使っていただきたい機能です。
許可されていないソフトウェアのインストール、セキュリティパッチ未適用、定期的なスキャン未実行など、セキュリティ上の問題を検知・回避することができます。
特殊な環境でない限り、MECM/SCCM を「OS展開」専用に導入することはとてももったいないと思います。
「OS展開」をきっかけに、MECM/SCCM の便利さに触れていただきたいです。
最後に
次回からは MECM/SCCM の評価版を使い、実際に「OS展開」を行うまでを順番にご紹介します。
評価版は150日間も使えますので、検証するには充分です。