[MECM/SCCM]MC、SAC、SAC-T?Office 365 ProPlusの更新プログラムチャネルの違い
Office 365 には300人以上の組織のために ProPlus というエディションがあります。
ProPlus では、機能アップデート(FU)の頻度を決めることができます。
そこで出てくる単語が「MC」、「SAC-T」、「SAC」です。「SAC」や「SAC-T」は Windows 10 でも耳にしますが、一体どんな意味なのでしょう?
そしてどんなアップデート方法が良いのでしょう?
参考にしたサイト
MC = 月次チャネル
MC は Monthly Channel の略で、「月次チャネル」です。
上記の図の青線の部分です。
月に1度、機能アップデートされますので、ユーザーは常に最新の機能を使うことができます。
MCがデフォルトのエディション
中小企業向けの Office 365 Business や Office 365 Business Premium のデフォルトはこのチャネルです。
サポート期間
次のバージョンがリリースされるまでです。
最新のバージョンのみ QU が提供されますので、どんどん次のバージョンにアップデートする必要があります。
弊社は MC ですが C2R で差分インストールされることもあり、特にアップデートを意識したことはありません。
SAC-T = 半期チャネル(対象指定)
SAC-T は Semi-Annual Channel(Targeted)の略で、「半期チャネル(対象指定)」です。
上記の図の黒線の部分です。
Windows 10 で昔あった CB(Current Branch) のようなもので、半年に1度(3月と9月)機能アップデートされます。
バージョンやビルドは月次チャネルと同じですので、半年ごとに最新にアップデートされるイメージです。
SAC-TはSACのテスト用
半期チャネル (対象指定)
パイロット ユーザーとアプリケーション互換性テスト担当者に次の 半期チャネル をテストする機会を提供します。
SAC は SAC-T のバージョンに4ヶ月遅れでアップデートされます。言い換えると SAC-T は4ヶ月先行してアップデートされます。
会社のシステム部門が SAC-T で一足先に新しいバージョンを手に入れて検証することで、4ヶ月後の一般社員向けの SAC に備えることができます。
SAC-T と SAC のアップデート月が異なるのはそのような理由からです。
SAC-Tがデフォルトのエディション
一般ユーザー向けではありませんので、デフォルトとして設定されることはありません。
サポート期間
半年です。
半年経つと月次チャンネルと同じ最新バージョンになるためです。
SAC = 半期チャネル
SAC-T は Semi-Annual Channel の略で、「半期チャネル」です。
上記の図の赤線の部分です。
Windows 10 で以前まで使われていた CBB(Current Branch for Business) のようなもので、半年に1度(1月と7月)機能アップデートされます。
一般ユーザー向けですね。
SACがデフォルトのエディション
Office 365 ProPlus のデフォルトはこのチャネルです。
レジストリをいじると MC に変更することもできますが、どうしても新機能を使いたい!という強い意志がない限りはおすすめしません。
サポート期間
14ヶ月です。厳密には SAC-T での検証期間4ヶ月も含みますので18ヶ月です。
SAC は半年に1度バージョンが上がりますが、サポート期間中の過去バージョンもそのままサポートされます。
最大3つのバージョンが並行してサポートされることになります。
ProPlus は大企業向けですので期間が長く設定されていますが、それでも14ヶ月間は短いように思えます。
FUとQUのアップデート方法は変わらない
FU や QU という単語が出てきていてはいますが、アップデート方法は変わりません。
QU のファイルサイズは100MB前後で大きくありません。
半期チャネルの FU は比較的大きいですが、OSのように数GBのサイズになることはありません。過去のデータを見る限り、最大でも300MB台です。
呼称はWindows 10に合わせたもの
2017年7月から Windows 10 は以下の呼称に変更されています。
- Current Branch (CB) → Semi-Annual Channel(Targeted) (SAC-T)
- Current Branch for Business (CBB) → Semi-Annual Channel (SAC)
Office 365 ProPlus それに合わせ、2017年9月に以下のように変更されました。
- Current Channel → Monthly Channel (MC)
- First Release for Deferred Channel → Semi-Annual Channel(Targeted) (SAC-T)
- Deferred Channel → Semi-Annual Channel (SAC)
呼称が同じだけで、リリース年月やバージョンが同じというわけではありません。
Windows 10 のSAC-Tが消える
Windows 10 の次期リリース 19H2 から SAC-T が無くなり、SAC のみとなります。
消えるのは SAC じゃないの?と思いましたが、1本になった時点で4ヶ月遅れも何もないのでシンプルな SAC にしたんでしょうね。
いずれにしろ、4ヶ月遅れの仕組みに依存していた企業は、みずから検証期間や一般向けリリースをコントロールすることになります。
ただ、「いつ SAC がリリースされるんだろう?」とハラハラするより、ずっと健全だと思います。
Office 365 ProPlusはどうなる?
Windows 10 と同じように4ヶ月遅れの仕組みが無くなり、MC と SAC だけになると予想しています。
ここでいう SAC は、リリースタイミングは今の SAC-T で、かつサポート期間が18ヶ月です。
SCCMを使えば完全にコントロールできる
SCCM を使えば、Windows 10 も Office 365 ProPlus 配信をコントロールすることができます。
WSUSはOffice 365 ProPlusの配信に使うことができません。
ネットワーク負荷を軽減できる
配信において最も気を遣うのがネットワーク負荷です。
数台ならまだしも、数百台、数千台が同時に数GBのファイルのダウンロードを始めてしまうと、ネットワークを圧迫し業務に支障が出てしまいます。
インターネット越しではなく社内のNASにファイルを置いても同じことです。
SCCM を使用すると、
- 配信の予約で影響の少ない時間帯にダウンロードする。
- 部門単位でダウンロードのタイミングをずらして一挙にアクセスしないようにする。
- ネットワーク帯域をフルに使用しないように制限する。
- ダウンロード元のサーバを複数用意して負荷分散する。
- P2Pでのファイルダウンロードでネットワーク負荷を軽減する。
など、様々な方法でネットワーク負荷の軽減を図ることができます。
アップデートされているか否かが分かる
正常にアップデートされているかどうかを確認することは、セキュリティに関わる重要な要素です。
万が一アップデートされていないPCがセキュリティホールを突かれ情報漏えいが発生してしまうと、企業の信用は大きく低下します。
ただ1台1台チェックするのは現実的ではありませんし、自己申告も誤りや漏れが心配です。
SCCM を使うと、自席にいたままクライアントPCの情報を収集・集計することができます。正常にアップデートできなかったPCを見つけ出し、リトライさせることもできます。
最後に
ProPlus を使用するような大企業であれば、SCCM のようなシステムで Windows 10 や Office 365 ProPlus の配信をコントールしないと、管理は不可能だと思います。
Windows 10 だけであれば WSUS でも何とかなるかもしれませんが、そこに ProPlus が加わるなら SCCM 一択です。