ChatGPTは業務にどう活用できる?個人情報を学習されないためには?

トピックス
ChatGPTは業務にどう活用できる?注意するポイントは?

昨今話題のAI技術「ChatGPT」。導入する企業も増えていますが、業務の補助ツールとしてはどんなことに活用できるのでしょうか。

実際に使用してみて、業務にどう使えるのかを調査しました。

ChatGPTとは?

AI

ChatGPT(Chat Generative Pre-trained Transformer)とは、OpenAI社が開発した自然言語処理のための人工知能(AI)技術です。

大量の自然言語のデータセットを学習し、文章生成や文書要約などに優れた性能を発揮する技術である「GPT(Generative Pre-trained Transformer)」をベースに開発されており、ユーザーとの会話に対して自然な返答を生成することができます。

業務の効率化に貢献するとして、ChatGPTを導入する企業も増えています。

ChatGPTは業務にどう活用できる?

ビジネス

ChatGPTは具体的にはどんなことに活用できるのでしょうか?

実際にChatGPTを使い、以下の観点で業務に活用できるか調査しました。

  • 用語のリサーチ
  • 報告書のテンプレートを作成
  • 定型的なメール文例を作成
  • アイディア出し
  • 用途に沿ったスクリプトの作成

なおこの記事で使用しているChatGPTは有償版の「GPT-4」です。

用語のリサーチ

抽象的な専門用語でも、「簡単に」「3行で説明して欲しい」などの注文をするとそれに応じて表現を変えて説明してくれるので、理解を深めるための補助ツールとして使うと便利です。

▼【例】「MECM(SCCM)について簡単に教えて下さい。」
MECM用語説明

よくまとまっていて文句をつけるのが難しいです。

報告書のテンプレートを作成

報告書のように、ある程度型が決まっているテンプレートの作成も得意です。

業務報告書のテンプレートを作成してもらいました。

▼【例】「業務報告書のテンプレートを作成して下さい。」
報告書full

「業務報告書」が汎用的な表現なため、そのまま使えるとは言い難いテンプレートになりました。

「業務報告書」だけではなく用途を指定した方がより使えるテンプレートになります。

定型的なメール文例を作成

メール文のテンプレート作成も可能です。

今回は打ち合わせの日程調整を提示する内容でメール文を作成してもらいました。

▼【例】「取引先との打ち合わせの日程調整を伝えるメールのテンプレートを作って下さい。」
メール文full

用途が明確ですので、そのままでも使える文面が出来上がりました。

アイディア出し

具体的なアイディアが欲しいときにも便利です。

▼【例】「ブログのPVを増やすための手っ取り早い方法をいくつか教えてください。」
PVを上げる方法

長いので続きは割愛しますが、基本通りのごもっともな内容です。

用途に沿ったスクリプトの作成

ちょっとしたスクリプトの例文を検索するのにも使えます。

▼【例】バックアップファイルを作成するコマンドを作成して下さい。

バックアップ保存

質問が曖昧なため、ディレクトリバックアップコマンドとファイルのバックアップの例文両方が出力されました。

出力された例は、ディレクトリバックアップ用のコマンド「robocopy」、「xcopy」、ファイルのバックアップ用のコマンド「copy」なので、正しい結果が出力されています。

ChatGPTで提示されたコマンドの検証

ChatGPTで提示されたスクリプトが実際に動作するか検証しました。

・【ディレクトリのバックアップ(robocopy)】

1.ChatGPTで提示されたスクリプトを流用し、「Cドライブ¥ユーザー¥ダウンロード¥素材」ディレクトリを「Dドライブ¥backup」へバックアップします。

robocopy C:\Users\m-nishiaki\Downloads\素材\ D:\backup /MIR /FFT /Z /XA:H /W:5

▼ChatGPT例文

robocopy <バックアップ元ディレクトリ> <バックアップ先ディレクトリ> /MIR /FFT /Z /XA:H /W:5

robocopy1

2.エラーが出ることなく正常に処理が完了しました。
robocopy2

3.指定の場所に「Cドライブ¥ユーザー¥ダウンロード¥素材」ディレクトリのバックアップが正常に完了しました。
robocopy3

・【ファイルのバックアップ】
1.ChatGPTで提示されたスクリプトを流用し、「SQLServer2019-x64-JPN.iso」ファイルをバックアップします。

copy C:\Users\Administrator.AZSBLOG\Desktop\SQLServer2019-x64-JPN.iso D:\backup\

▼ChatGPT例文

copy <バックアップ元ファイル> <バックアップ先ディレクトリ>

2.こちらもエラーが出ることなく、「SQLServer2019-x64-JPN.iso」ファイルのバックアップが正常に完了しました。

GPT-4(有償版)とGPT-3(無料版)の比較

無料プランのChatGPTはGPT-3しか利用できませんが、ChatGPT Plusに有償アップグレードすることで新しいバージョンであるGPT-3.5とGPT-4を利用することができます。

ではGPT-4とGPT-3の回答はどの程度違うのでしょうか。

「MECMについて簡単に教えて下さい。」と質問して比較してみました。

GPT-3

▼Mobile Edge Computing Managementについての説明が返ってきました

▼もう一度聞くとMindSpore Edge Model Managerについての説明が返ってきました
MECM

前者はMEC(Mobile Edge Computing)の説明ですし、後者についてはそもそも存在しません。

GPT-4

▼こちらはMECMについて正しい説明が返ってきました。
専門用語の質問full

GPT-4の方がより正確

GPT-3の場合曖昧な質問をすると間違った回答が返ってくることがありますが、GPT-4は多少質問が曖昧でもこちらの意図を汲んで、より正確に回答してくれます。

業務で使用を検討している場合は有償版であるGPT-4がおすすめです。

ChatGPTを業務に使う上での注意

危険

ここまでChatGPTの活用方法を紹介してきました。

ChatGPTは使い様によって様々な業務に活用できますが、使用する上でいくつか注意するべきポイントがあります。

  • 機密情報や個人情報を学習される危険がある
  • 最新の情報は回答できない
  • 情報が間違っている場合がある
  • 使うユーザーにもある程度知識が必要

機密情報や個人情報を学習される危険がある

ChatGPTは入力した情報を学習します。

会社の機密情報や、個人情報が含まれる内容の質問はしないよう気を付けましょう。

チャット履歴・学習機能を無効に設定すると安全

「チャット履歴・学習(Chat History & Training)」の有効・無効を切り替える機能は、2023年4月25日に追加されました。

この機能を「オフ」にするとチャット履歴が無効になるだけでなく、その際に開始された会話はChatGPTの学習には使用されなくなります。

この機能は、ユーザー情報横の「…」マーク>「Settings」>「Data Controls」>「Show」から確認が可能です。

最新の情報は回答できない

ChatGPTは2021年までのデータを元に学習しています。

そのため、2021年以降の最新の情報の回答は正確ではない可能性があります。

間違っている情報が返ってくる場合がある

ChatGPTの情報参照元はインターネットのため、正しくない回答が返ってくる場合があります。特に曖昧な質問をした場合に多いです。

また、大筋は正しくても部分的に間違っている場合が多いので、そのまま鵜呑みにせず必ず自ら検証しましょう。

使うユーザーにもある程度知識が必要

質問の仕方によっては「情報が間違っている場合がある」、「返答の情報が正確でない可能性がある」ので、質問した情報をある程度自分で補完する必要があります。

【参考】Microsoft 365にもAI導入予定「Microsoft 365 Copilot」

Microsoft 365 Copilot

2023年3月28日、Microsoftは「Microsoft 365 Copilot」を発表しました。

「Microsoft 365 Copilot」は、ChatGPTと似た機能「Business Chat」機能が導入されており、指示を入力するとMicrosoft 365 アプリ、ユーザーのデータを利用し、質問や指示に答えるとのことです。

なお、具体的なリリース時期については発表されていません。

終わりに

今回はChatGPTの業務の活用例、注意点について紹介しました。

最終的には人間の判断が必要になりますが、業務の補助ツールとしてChatGPTを業務に利用してみるのはいかがでしょうか。

活用する際はなるべく機密情報や個人情報を入力しないよう気をつけましょう。