Windows 11 25H2 ProでMicrosoftアカウント入力をスキップする方法(24H2以前も記載)

Windows

Windows 11を新規導入・キッティングする際、セットアップ中にMicrosoftアカウントの入力を求められ、ローカルアカウントを選べない仕様に困った経験はありませんか?

Windows 11 22H2以降、Pro・Homeのいずれもこの壁があります。

そこで本記事では、IT管理者・キッティング担当者向けに、Windows 11 25H2でも実現可能な「Microsoft アカウントを入力せずセットアップを進める」ための方法をご紹介します。

Windows 11からMicrosoftアカウントが必須に

Windows 11 22H2からPro、Homeエディション問わず、セットアップ時にインターネット接続とMicrosoftアカウント入力が必須になりました。

Windows 10の仕様とは異なるため、セットアップ時にMicrosoftアカウント入力をスキップしてローカルアカウントを作成するには工夫が必要です。

Microsoftアカウント入力を回避する方法(Windows 11 25H2対応)

セットアップ時にMicrosoftアカウントの入力を必須化する動きが強まっています。後述する「oobe\BypassNRO.cmd」や「start ms-cxh:localonly」を使う方法は既にプレビュー版で使用不可能になっており、一般公開版のバージョンにいつ適用されるか分かりません。

そこで、25H2環境で現在使用可能な方法を調査するべく、検証を行いました。

検証環境は以下の通りです。

  • Hyper-Vを使用した仮想マシン上で行う(RufusのみノートPCの実機)
  • OS:Windows11 25H2 business editions ja-jp
  • バージョン:26200.6584

方法1. 代わりにドメインで参加する

特別な手順を踏む必要がないため、運用上問題がなければまずは以下の方法をおすすめします。

1. セットアップを進め、以下の画面まで進んだら、「職場または学校用に設定する」をクリックし、「次へ」をクリックします。
8職場または学校を選択

2. 「代わりにドメインに参加する」をクリックします。
9代わりにドメインに参加

3. 「このデバイスを使うのは誰ですか?」画面で任意の名前(ローカルアカウント名)を入力して「次へ」をクリックし、設定終了まで進めます。以上で完了です。
10ローカルユーザー名作成

方法2. 「start ms-cxh:localonly」コマンドを使用する

本検証ではまだ使用可能なことを確認できましたが、後のバージョンでは使用不可能になっているようです。後日確認ができ次第追記します。

1. セットアップの最初に表示される「国または地域はこれでよろしいですか?」の画面で「Shift+F10」を使ってコマンドプロンプトを管理者で開き、以下のコマンドを実行します。

start ms-cxh:localonly

11
start ms-cxh:localonlyコマンド入力

2. コマンド実行後、以下のポップアップが表示されます。任意の名前(ローカルアカウント名)、パスワード、セキュリティの質問を入力したら「次へ」をクリックします。以上で完了です。
12ローカルユーザー作成

方法3. 「net」コマンドでローカルユーザーを作成する

1. セットアップの最初に表示される「国または地域はこれでよろしいですか?」の画面で「Shift+F10」を使ってコマンドプロンプトを管理者で開き、以下のコマンドを1行ずつ実行します。

net user "任意のユーザー名" /add
net localgroup "Administrators" "任意のユーザー名" /add
cd oobe
msoobe && shutdown -r

13netコマンド入力

2. コマンド実行後、自動的に再起動します。その後以下のサインイン画面に遷移します。自分が作ったローカルユーザーでサインインして完了となります(defaultuser0は無視でかまいません)。
14自分が作ったユーザーでサインイン

方法4. レジストリを編集してスキップ

事前準備として、インターネットに接続していない状態にする必要があります。PC本体からLANケーブルを抜くなどしておきましょう。

1. セットアップの最初に表示される「国または地域はこれでよろしいですか?」の画面で「Shift+F10」を使ってコマンドプロンプトを管理者で開き、以下のコマンドを実行します。

regedit

15regeditコマンド

2. 実行するとレジストリが開きます。
16レジストリを開いた状態

3. レジストリ内部の「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\OOBE」のキーを開き、右枠の空白の部分を右クリックし、「新規」→「DWORD(32ビット)値(D)」を作成します。
17新規キー作成

4. 作成したキーをクリックし、値の名前を「BypassNRO」に変更、値のデータを「1」に変更し、「OK」をクリックします。
18レジストリ値変更

5. 以下の画面のようになったらレジストリエディタを閉じ、コマンドプロンプトに以下のコマンドを入力して、PCを再起動します。その後、指示に従ってセットアップを進めます。

shutdown /r /t 0

19レジストリOK

6. 「ネットワークに接続しましょう」が表示されたら、「インターネットに接続していません」をクリックします。ローカルユーザー作成画面になるので、指示に従って作成したら完了です。
20インターネットに接続していません

方法5. Rufusでオンラインアカウントの要件を削除する

今回の検証ではRufusのバージョン4.11を使用しています。

1. Rufusを起動すると以下の画面になります。「デバイス」はUSB等外部ストレージを選択し、「ブートの種類」は事前に用意したisoファイルを選択します。他の設定はそのままで、「スタート」をクリックします。
21rufus設定

2. 以下のポップアップが表示されるので、「オンラインアカウントの要件を削除」にチェックを入れて「OK」をクリックします(今回は「4GB以上のRAM、セキュアブート及びTPM2.0の要件を削除」にチェックを入れていますが、実際にはチェックを入れなくても問題ありません)。

22オンラインアカウントの要件を削除

3. ブートメディアを作成したUSBをキッティングするPCに挿して、USBからブートします。Windows 11のセットアップを進め、「ネットワークに接続しましょう」が表示されたら、下部の「インターネットに接続していません」をクリックします。あとは指示に従ってローカルアカウントを作成し、完了です。

23rufus版インターネットに接続していません

Microsoftアカウント入力を回避する方法(Windows 11 24H2以前に対応)

本検証ではまだ25H2環境でも使用可能なことを確認できましたが、後のバージョンでは使用不可能になっているようです。確認でき次第追記します。

1. 事前にインターネット接続を切っておき、セットアップを以下の画面まで進めます。
1

2. 「Shift+F10」でコマンドプロンプトを管理者で開き、以下のコマンドを実行します。

oobe\BypassNRO.cmd

2

3. コマンド実行後、自動的に再起動します。
3

4. 再起動後は1.の画面に遷移しますので、そのまま「ネットワークに接続しましょう」画面まで進めます。
1

5. 「ネットワークに接続しましょう」画面まで進んだら、「インターネットに接続していません」をクリックします。
4

6. 「今すぐ接続して、デバイスをすぐに使い始めましょう」画面の「制限された設定で続行」をクリックします。
5

7. 「このデバイスを使うのは誰ですか?」画面で任意の名前(ローカルアカウント名)を入力して「次へ」をクリックし、設定終了まで進めます。
6

8. 再起動後、セットアップ時に作成したローカルアカウントでログインできました。
7

補足

プロビジョニングでもMicrosoftアカウント入力はスキップ可能

実はプロビジョニングでもMicrosoftアカウント入力をスキップ可能です。

Windows 11 Homeの方法はこちら

Windows 11 Homeのスキップ方法はこちらを参照して下さい。

最後に

Windows 11のアカウント仕様は、企業の展開作業やキッティング手順に大きく影響します。

本記事で紹介した検証内容を参考に、現場環境やポリシーに合わせた最適なセットアップ手順を整備しておくことをおすすめします。

アーザスではMECMやIntuneなどのエンドポイント管理基盤を活用した展開・初期設定支援も行っています。効率的な導入体制を構築したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。