MECM/SCCM導入事例~キッセイコムテック株式会社様~その1

MCM(MECM)
SCCM導入事例~キッセイコムテック株式会社様~その1

今回から数回に渡り、 キッセイコムテック株式会社様の SCCM のOS展開事例をご紹介しようと思います。

キッセイコムテック様には事例紹介に対し快く承諾していただきました。本当にありがとうございます。

とかく難解な SCCM ですが、実際の事例にあわせて紹介できるというのは、非常に貴重です。

キッセイコムテック様のレンタル事業のご紹介

今回 SCCM を導入いただいたキッセイコムテック様のレンタル事業を簡単にご紹介したいと思います。

キッセイコムテック様では、主に「MICE」に関わるお客様にPCレンタルなどのサービスを提供されています。

「MICE」:マイスと読みます。Meeting(会議・セミナー)、Incentive(招待・視察)、Convention(学会・国際会議)、Exhibition(展示会・見本市)それぞれの頭文字をとった造語で、人が多く集まる催事全般を指す言葉です。

レンタルと言ってもただ機材を貸し出すのではなく、実際に使えるようにお客様をサポートされています。

まさにICTトータルサービスですね。

PCレンタル事業の課題

締め切り

キッセイコムテック様のPCレンタル事業ですが、実は大変なお仕事です。どんなところが大変なのかご紹介します。

短い期間でもレンタルできる

リースをイメージされると長期間使わないといけないというイメージかもしれませんが、キッセイコムテック様のレンタルは、1日でもできるのです。

セミナー、イベントなど短い期間でも利用できてうれしいですよね。

ただ、裏を返せば、レンタルの回転が非常に速いということです。キッティングしたレンタルPCが数日で戻ってきて、それを再度キッティングしてレンタルしてもらいます。

キッティング、かなり大変そうですね・・・。

レンタル先が多岐に渡る

様々なお客様に、様々な場面でレンタルいただいているのも、キッセイコムテック様のレンタル事業の特徴です。

レンタル用途にあわせて、多種多様なキッティング作業を行っているそうです。

一般的なキッティング作業を大まかにいうと

  • 保存してあるイメージをマスターPCに戻す
  • マスターPCを使用者に合わせて修正する
  • マスターPCのイメージをキャプチャーする
  • クローンPCにキャプチャーイメージを流し込む

といった作業を行います。

システム部門が行う社内向けのPCのキッティングでは、機種も設定内容もあらかじめ決められています。機種やOSの入れ替え等、節目節目で作り直す必要がありますが、一度イメージを作ってしまえば、後は流し込むだけです。

しかし、レンタル事業ではそうはいきません。WindowsUpdate、ソフトウェアインストール等設定内容はその時々によって違います。

イメージ作成を、毎日、何十種類も行う。それがどれだけ大変なのか想像できると思います。

当日レンタルもOK

「急遽PCがほしい」「故障した、替えがほしい」
そんな声に対応できるのも強みだそうです。

しかし、MICEのお仕事では納期がとてもシビアです。お客様は短い時間で開催準備を進めています。そんな中「システム障害で納品が半日遅れます」なんて許されません。

システム障害はいつ、どんなことが起こるか分かりません。納期を確実に守るためにも業務を継続できる環境づくりが必要です。

要するにとても大変

頻繁に、様々なバリエーションのPCを、短時間で確実にキッティングする必要があります。とてもハードルの高い仕事ですね。

従来の作業方法

Symantec Ghost

ちなみに今まではどんな方法でレンタルPCを作成されていたのでしょう。

  • オーダーを受ける
  • オーダーに合った(近い)保存してある.ghoファイル(Symantec Ghostのイメージファイルです)をマスターPCに戻す
  • マスターPCをオーダーに合わせて修正する
  • マスターPCのイメージを Symantec Ghost を使ってキャプチャーする
  • クローンPCに Symantec Ghost でキャプチャーイメージを流し込む

キッティングで Symantec Ghost を使用するケースはとても多いですし、一般的な方法ですね。

私も何度か使いましたが、GUIで1つの.ghoファイルを扱うだけですので、とても楽です。

Symantec Ghostの課題

困った人

比較的楽で一般的な Symantec Ghost によるキッティングですが、課題がありました。

レンタル先により、機種やOSはもちろん、インストールしておくアプリケーションや各種設定がそれぞれ異なります。つまり、キッティングのバリエーションごとに数GBもある Symantec Ghost のイメージファイルが大量にできてしまうのです。

キッセイコムテック様は、巨大なイメージファイルの保存先の確保や、大量のファイル管理に非常にお悩みでした。

なぜSCCMなのか

選択する

ではなぜ解決先として SCCM を選択されたのでしょう?

そこには SCCM が持つタスクシーケンスという機能が大きく寄与しています。

キッティングでのタスクシーケンス

タスクシーケンスは、任意のタスクを順番に実行することができる機能です。

まずはキッティング(SCCMではOS展開と呼びます)で使用する主なタスクを挙げてみましょう。

  • パーティションの作成
  • OSイメージの適用
  • Windows設定
  • ネットワーク設定
  • 各種ドライバーの適用
  • ローカルユーザーの作成
  • ローカルユーザーのローカルグループへの追加
  • ドメイン参加
  • OSライセンスキーの設定(ボリュームライセンスの場合)
  • 各種レジストリの設定
  • 各種アプリケーションのインストール
  • 任意のプログラム(スクリプトも含む)の実行
  • PowerShellの実行
  • 更新プログラムの適用

タスクを組み合わせる

タスクは複数種類作成しておくことができます。

例えば機種ごとに適用するドライバーは異なりますので、ドライバーを適用するタスクを機種ごとに作成しておきます。アプリケーションのインストールなど他のタスクに関しても同様です。

タスクの組み合わせを変えるだけで、様々なバリエーションに対応できます。もちろんバリエーションごとにイメージファイルが増えることはありません。

最後に

従来のキッティング方法での課題と、それを解決するために SCCM を採用した理由についてご紹介しました。

キッセイコムテック様が抱える非常に悩ましい課題を、SCCM で解決するためには様々な対策が必要でした。

次回からは、その課題に対しどんな対策でクリアしたのかご紹介します。